「名古屋城の将来を語る市民大討論会」
平成24年2月19日 10:00開会
市民183名(予定)が参加
1、名古屋城の現況説明 (名古屋城総合事務所)
■全国の観光客数比較(H22)
1、首里城(沖縄) 167万人
2、二条城(京都) 157万人
3、名古屋城 152万人
4、熊本城 144万人
5、大阪城 137万人
※意外なことに、姫路城はランキングでかなり下のほうだった。46万人
■現在のコンクリート天守閣
五十年以上たつと、登録無形文化財
1959に建ったので、登録すれば、無形文化財になる。
・名古屋城・熱田神宮を爆撃されたことで、相当に名古屋の人は意気消沈した。
アメリカ軍の狙い。
・1959年、「二度と燃え落ちない天守閣を」という気持ちのもとで作られたコンクリート天守閣。
当時の市民には、言い尽くせない熱い想いがあった。
・ワルシャワでは、今でも、戦災で燃え尽きた街の写真を売っている。その気持ちを風化させまいという執念。
(瀬口教授)
・コンクリート耐用年数は残り40年以上
・取り壊し、更地にするだけで320億円必要 + 木造天守建築費?億(100億円以上?)
■木材
・柱は節の目立たない木曽ヒノキの優良材が必要
・樹齢300〜400年の大径木(直径60センチ以上)
・調達は困難
2、片岡靖男 中部大学教授 「天守閣木造復元の技術的課題」
早稲田大学大学院 理工学研究科修了。
伝統木造建築の耐震性能向上のための新しい耐震要素の開発研究、耐震性の評価法の提案を行なっている。
熱田神宮や永平寺の建造物の構造機能評価を実施。
■復原と復元
「復原」 … 最初のものに戻す
↑
↓
「復元」 … 宝暦の大修理 (設計図あり) ※今回はこちら
■大洲城の例
愛媛県大洲市 大洲城・木像復元 2004/7
面積=1/4 体積=1/8
「募金」ならぬ「募木」活動 個人所有・寺・神社などの木を募る活動
■木造天守閣は、実は火事に強い
・大断面の木像建築は火災に強い
表面が炭化すると(酸素がなくなり)中が燃えなくなる
たきぎの例:芯になる種木はいつまでも残っている
こうした理論から、火災の問題は解決されつつある
※戦争以外で、火事(失火)で燃えた天守閣というのはない。
(討論会終了後、博士に聞いた)
■名古屋城の美しい石垣
・美しい曲線はどうやって得られたのか、さまざまな関数を当てはめてみた
⇒ 懸垂線ではないか(まだ仮説であるが)
懸垂線 = 高低のある二地点のあいだに、紐を垂らした時にできる自然のカーブ。
長さと重さで決まる。
3、市民の意見発表
三十数名の応募があり、そのうち六名が選出。
持ち時間はひとり、三分きっかり。
一人目
・櫓なども復元してほしい
・忠実に再現してほしい
二人目
・金シャチ横丁は賛成
・「三英傑・宗春館」を造ってほしい
・モニュメント・橋・アーチなど、観光客の気持ちをもりあげるものにも力を入れてほしい
・よその真似はいただけない。「横丁」という言葉は使わないでいただきたい。
三人目(小滝ダイゴロウ)
・金シャチ横丁建設予定地に生存する、貴重な樹木を守ろう!
・建設予定地には、天王坊後園という遺跡も。
・池泉庭園にするべき
四人目
・木造天守閣賛成
・本物がほしい
五人目
・集成材(木を寄せ集めて作る)はやめてほしい
・真のプロを使って復元してほしい
六人目
・例え木造天守閣を造ったとしても、それは本物ではなく偽物
・今の天守閣は、二度と燃えない天守閣を、という市民の熱い想いでできた。それこそ本物。
・河村市長よ、他人の意見を聞く耳を持て
4、パネルディスカッション
(話を聞くのに夢中で、メモが疎かになりました)
<コーディネータ>
瀬口 哲夫氏 名古屋市立大学名誉教授
東京大学工学系大学院修了。歴史的遺産を活かしたまちづくり、都市景観や土地利用を考慮した
都市計画について研究し、中心市街地の活性化や美しいまちづくりの実践活動を行なう。
・東山のように地形に沿った道こそが美しい、まっすぐな道はおかしい、という感覚が、 昔の人にはあった。
・建設費は、市民の数と建設の年月を考慮すると、市民一人につき、一年に千円という計算。
<パネリスト>
片岡教授
・四方松は、入手困難
・石垣は今のコンクリート天守を支えられるほど充分な補強がしており、手をつける必要はない。
・その石垣の上に、軽い木造天守を乗せる。
古池 嘉和氏 富山大学教授
麓(ふもと)和善氏 名古屋工業大学大学院教授
・豊富かつ、精細な資料が残っているのは、全国でもここだけ。
・史実どおりに復元することが大事、そうでなければ価値は出ない
山本 勝子氏 知多ソフィア観光ネットワーク代表
日本福祉大学福祉学部卒業。
学・産の連携で地域振興策を提言していく知多ソフィア観光ネットワークを設立。
知多半島ビジターズ戦略の具体化を図り、現在、知多半島観光圏協議会副代表。知多半島総合研究所副所長をつとめる。
河村市長
・名古屋城が燃え落ちたのは、5/14の空襲でなく、3/19だったという説もあります。
・熱田神宮は草薙の剣が避難した翌日に、空襲で燃え落ちた。草薙の剣はギリギリ助かった。
・…など、多くの郷土史知識を披露。
・観光は度外視
・まずは、名古屋人が自慢できる物をもたなかん。(それを持った時、初めて、観光に心がむく)
・車椅子の方が木造天守では登れなくなる ⇒ おぶって登る。
・減税した分のお金を、みんな名古屋城への募金に使ってちょ。
5、会場の意見
・ソーラーパネルを張りめぐらせ、名古屋城の電気はすべてそれでまかなうべきだ。
・東北の人は苦しんでいるのに、こんな能天気な話をしていていいのか、という思いもあります。
・税金ではなく、すべて、募金で行なうべき。
・今の天守閣で充分、内装を変えるだけで、魅力的なものになる。
・この討論会の総括をぜひしてほしい。なんらかの結論を。
・木造建築は是非やるべきだ。大きな夢が必要なんだ。これは種まきで、市民みんなでそれを育ててゆくんだ。
|