蟲 地 獄 |
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皆さんは 蠱る と書いてなんと読むかわかりますか? はい、わかりませんね。答えは、「まじこる」 と読みます。 意味はなんでしょう? 漢字をよくみてください。虫が三匹、皿に乗っていますね。 思い浮かべてみましょう。 あなたがスパゲティナポリタンを食べようと、今まさに口吻を近づけたその皿に、うじむしが三匹、うにょうにょ戯れあっていたとしましょう。 「ノハッ、こ、こんなもの食えるかーーーッッッ!!! (ぐわらんぐわらんバシャバシャン!!)」 あなたは驚いて、恐慌と共にちゃぶ台をひっくり返すにちがいありません。 そう、まさに今、あなたは思いもかけぬ災いに遭遇したのです。 このように「災難にあうこと」を、古い言葉で「まじこる」と言います。 そんな意味を念頭におきながら、この字面をみると、なるほど、昔の人も虫にはたいへん悩まされたであろう事がよくわかりますね。 どこの文学博士が造った漢字か、筆者はあいにくにも知りませんが、今よりも衛生事情の悪かっただろう昔のこと、 おそらくその何某博士の人生にとって、なによりの災いは、食べ物のなかに虫が入っていた事だったのでしょう。 わかります、わかりますよ、博士…。(※生米地獄参照) 昔も今も、我々を悩ませてきた蟲ども。 このコーナーはそんな蟲どもによって災難にあった = 蠱った (まじこった)体験談を募集、発表するコーナーです。 |
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■ 私は夜勤で働く25歳の会社員です。夜遅く、会社まで自転車で通勤しています。 季節は春でした。吹く風は温かく、夜桜もちらほらと咲きかけており、私もなんだかいつもより良い気分で、 自転車をこぎながら、通行人がいないのを良い事に、調子に乗って大声で歌など歌っておりました。 歌がサビまでいった頃に突然私は、「ガボッ」という声にならぬ声を出して、自転車から転げ落ちました。 歌のサビの息継ぎをした瞬間に、ブウンとうなる大きな虫がすごいスピードで私の喉の奥めがけて一直線に飛び込んできたのです。 私は咳き込みながら道端にうずくまり、オエーッ、オエーッと吐こうとしたのですが、その大きな虫は喉にひっかかっていて、 なかなか外に出てこず、そればかりかどんどん奥のほうへ入っていってしまい、 最後には結局は腹のなかにおさまってしまいました。 私はその夜、働きながら、一晩中いいしれぬ気持ち悪さでした。 胃の奥からこみあげる吐き気と息にまざって、なんだか金属臭のようなものがしました。 ほんとうにショックでした。まじこりました。 (25歳・男・会社員) それはショックでしょう(苦笑)。何を歌っていたかも気になるところ。 ■ あーあるよね、米に虫が入ってる事。 俺なんか昔、やたらこの米は糠が多いなぁ無農薬だからかなぁえへへなんて思いながら半月ほど食い続けたけど、 その袋のなかで実は羽虫が大発生してて何のことはない、糠じゃなくて繭だったんだなんて(気持ち悪いので以下略)。まじこった。 (28歳・男性) 半月ほど食べつづけてらしたんですね…。尊敬します。 ■ 昔住んでた下宿のベランダに鳩が住みついていて、それでそいつらが毎日糞をするもんだから、その糞がベランダにたまっていくわけ。 ある日ふと見てみたら、ベランダの縁の雨が流れていくミゾみたいなところが、全部その緑色の糞で埋まっていて、 更にその糞のなかに、皮膚の表面に血管がすけてみえるがごとくに、糞の表面内部にたくさんの虫がうようようごめいてて、すごいことになってた。 多分、蚊の幼虫かなんかだと思うんだけど…。 それ以来、ベランダの掃除はかかさなくなった。ホントまじこったよ。 (28歳・男性・名古屋市在住) その蟲混じりの糞をブツブツ言いながらひとりで掃除している、わびしげなうしろ姿が見てみたかったです。 ■ これは先輩ライダーの話なのですが、 高速をヤマハ・セロー225というオフロードバイクで120km/hばかり出して巡航していたとき、 いきなり左のクラッチレバー前のプロテクターが「木っ端微塵に」砕けたそうです。 あとから見てみると付近に甲虫らしき蟲の残骸が……。 もしこれが右のプロテクターに衝突していたら、フロントブレーキレバーを握りこんでしまうことになりますから、 先輩の命はもしかしたらなかったかもしれません。 結構甲虫は硬く、バイクなんかでスピードが乗っているときに命中すると結構なダメージを喰らってしまうもので、 他にも、田舎道ヘルメットのバイザー上げて走っていたら、 いきなり顔面にカナブンが激突して失神して転倒してしまった、という話もあります。 気付いたらあぜみちだったそうな。 (むすにゃさん) やはり、自転車やバイクには虫は天敵らしいです。そのライダーのかたは乗りながら歌ってなくてよかったですね。 ■これは大学の写真研究会にいたころの話なのですが、 夜学の後サークル会議があって、もう時間も大分遅くなった頃にお堀端を市ヶ谷駅まで向かって帰路に就きました。 あれは夏休みのころでした。 街灯の下で、50台の男性が何かを接写レンズで撮ろうとしています。 みるとそれは羽化しそうなセミでした。 あんまり撮れるものでもなく、フィルムも持っていたし接写機能のある広角ズームレンズも持ち歩いていたので、自分も撮影に混ぜて貰うことにしました。 ところがその撮影をしていたときは、運悪く半袖のTシャツ一丁でした。そりゃそんなものを撮るとは思ってもいなかったからです。 横にいるおっちゃんはちゃんと長袖でした。 繰り返すようですが、堀の側でした。 水場の近くという物は、蚊が一杯いるものです。 ましておっちゃんはいい感じに枯れています。 撮影を終わった頃は、まるで被害担任艦としてシブヤン海に沈んだ武蔵の如く、自分の腕は蚊の集中攻撃を受け1.2倍くらいに膨らんでいました。 隣のおっちゃんは一カ所も刺されていませんでした。 「若いっていいねえ」って、そうぢゃないだろおっさん……0__)0 (むすにゃさん) おっちゃんの一言がすてきです。 ■ 実は、昨年の秋より私は自家製のパンづくりに凝りはじめました。 その腕前については、「むしパン」(高川さんの解説が見事でした…曰く「虫(蜂の子)が入っていて、ちゃんと蒸してあって、虫の形をしたパン」)で記憶いただいているかと思います。 今年に入ってからは、我が家ではパンは「自分で作るもの」または「美味しいパン研究」のために評判の店を食べ歩くものになっていました。 ところが私の食へのこだわりはパン以前に「御飯」にも向けられた時期があり、5年ほど前から私は特定の銘柄の無農薬玄米のみを食べて暮らしています。 この玄米はしかし、困ったことに梱包段階で虫にやられていることがあり、今年の梅雨前にも久しぶりに私はその虫入りの梱包をひきあててしまいました。 虫の種類は「チュミーン型」ですが、変態後は甲虫ではなく小さな蛾になります。 でも、大量に増殖しても量は知れているので、発生した時はあきらめてその時購入した玄米(1.5kg単位)がなくなるまで米研ぎ段階で除去して御飯を炊くことが常でした。 そうして初夏に至るまでに、なんとかその回の「当たり玄米」を始末できたのですが、 それから私はコミケに向けての企画本やらコミティアXの模擬店企画に忙殺される日々に飛び込みました。 そして、それがすべて終わったのが9月のはじめ。一息ついて、実にひさびさにパンを打とうと、取り置きの小麦粉、ライ麦、全粒粉、等々取りだしました所… 玄米よりよっぽど彼等の生育環境に適してたらしく、そのことごとくに「チュミーン」が。 粉まみれで、幼虫、蛹、蛾がみっちりと。 そのまま打てば、確実に虫含有率50%以上の虫パンができる状態。 保存用の袋が透明だったのが幸いして、開封前にそれを発見、そして処分することができたのですが。 以来パンづくりの粉の保存には念をいれている状態ですが、 実は、その事件があって、1週間の後に私は知人作家に家の留守番をお願いして2週間の海外旅行に出かけました。 その知人には、未だにその前の週の我が家での惨事について打ち明けてはいません。 蠱りました。
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引き続き、みなさんの 愉快な(恐怖の)「蟲話」…蠱った話を募集しています。但し、くれぐれも実話に限ります。 蟲によって災いをこうむった場合は、文末を「まじこった」で終わらせてください。 性別、名前(本名でも匿名でも仮名でも)、職業などをそえて、こちらのあて先まで。 binzume@royal.interq.or.jp メールフォームはこちら 壁紙提供 : KUWAGIF化計画 |