昨晩、クロッカスの鉢植えが、僕に話しかけてきた。

「わたし、太陽になりたいの」

かわいらしい白い花が、そう言ったんだ。


今日、ぼくは桜並木のトンネルを歩いた。
それで、思ったんだ。

あのクロッカスと同じように、
桜の木たちも、太陽になりたがっている。
月になりたがっている。
この花々は、そんな思いの表現なんだ。

土の底から生まれる彼らは、太陽に憧れ、月に憧れ、
それを花という形で表現する。

雨に憧れ、雨の形を、風に憧れ、風の形を模倣する。

きっと彼らは、太陽を月を、雨を、風を、ふかくふかく愛してるんだね。
だからこんなふうに、自在に表現できるんだね。

僕ももっともっと、愛することを学ばなければ。
人生でもっとも大切なことは、愛することで、
人間は愛することがとてもヘタで、自然は愛することがとても上手だと思うから。

僕ら人間はいつでも、花を見て、風に吹かれて、
自然から愛し方を学べるのでしょう。







HOMEにもどる