ひばりが丘の、お地蔵さま



この写真は、名古屋の八事(やごと)、ひばりが丘の交差点を、昔から見守ってくれているお地蔵さまの写真です。
やや見にくいですが、地蔵さまの左右に「右、アツタ 左、石坂」と、
行き先を案内する地名が彫られています。
現代人の目から見れば、「あれ?『左、アツタ 右、石坂』の間違いでしょ?」と、なってしまうのですが、
これは、現代人が唯物論に毒されているために、そう思ってしまうのでしょう。

どういうことかと申しますと、
ちょっと細かい話なので、よく考えていただきたいのですが、
実際、アツタに行くには、この地蔵様に対面して、左へ行かなければなりません。
それなのに、「右、アツタ」と書いてあるのは、
「見る人にとっての右」ではなく、「お地蔵さまにとっての右」なのです。
見た人が、「右、アツタ」を理解するためには、一度、お地蔵様の気持ちにならなければいけないのです。
昔(江戸時代?)は、なにも言わなくとも、それでみんなが了解したのでした。
昔の人が、いかにやさしい感覚をもっていたかがわかります。

写真をよく見てもらうと、
右と彫られた上に、マジックで「左」、左と彫られた上に、マジックで「右」と、落書き(修正)されてしまいました。
誰か、すこし自分中心な性格の人が、書き直さずにはいられなかったのでしょう。
これを見て、すこし哀しい気分になりました。

昔の人々のやさしい心を、現代を生きる私たちも、忘れないようにしたいものです。

(2018.3.13)

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